ブラック企業に勤める息子からSOS

ブラック企業に勤める息子からSOS

東京に「超」といってもいいほどのブラック企業に勤める息子がいます。

何をもってブラック企業というかというのはありますが、親として最も心配しているのは労働時間(拘束時間?)の長さです。

毎日8時過ぎに出社して退社は23時から24時だといいます。

就業規則では週休2日制ですが、休日は基本日曜日だけの月に4~5日で、最近ではその休日でさえ出勤が多くなってきたといいます。

ダラダラ仕事してるのかとも思ってましたが、朝の9時にLINEでメッセージを入れても、23時をすぎないと既読になりません。

おまけに入社2年目から月給が4万円ほど減ったといいます。

何とも怪しい会社です。

一昨年、九州の大学に在学している時から東京に引っ越して働き始めましたので、かれこれ1年半以上そんな会社で働いています。

そんな息子から、先日「東京に来れないのか」と連絡がありました。

そのような事態は初めてだったため、これはSOSかと思い、すぐに出向いてじっくり話を聞くことにしました。

jal-tokyo

新宿で待ち合わせをして昼食時の開口一番「6月で会社を辞めることにした」と。

大方そんなことだろうと思い、今の会社に勤めて精神的におかしくなるより、給料面とかの条件は下がっても、もう少し自分の時間が持てる会社へ転職した方がいいと思い、反対はしないことにしていました。

しかし、辞める理由を聞いてみると「今の会社は将来性もあるし、仕事もそこそこやりがいがあってそんなに苦ではないけど、結果を出しても給料が上がらず、思うような金持ちになれそうにないから」といいます。

友達にはネットワークビジネスや保険の営業などで年収数千万円というのが何人もいるといい、自分もそういった世界に若いうちにシフトしたいと言います。

他の会社に転職するつもりは全くないようで、転職するくらいなら今の会社にいた方がいいと言います。何とも厄介な動機です。

実は、息子が会社を辞めたいというのはこれで2回目。

前回はネットワークビジネスをはじめてお金持ちになりたいからというのが理由でした。

ネットワークビジネスは阻止しましたが、今回も理由はあまり変わりません。

どうしても早く金持ちになりたい、成功したいと思っているようです。

今回は、何かの当てや、やりたい事があるのかと聞いても無いといいます。

じゃあどうするのかと聞くと、今はそういうことを考えたり人脈を造ったりすることができないほど忙しいから、一旦、会社を辞めて、アルバイトでもしながら時間を造って進む道を考えて決めたいといいます。

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社会に出て1年。やはり世の中の厳しさが分かっていません。

で、今、勤めている会社のことを詳しく聞いてみると、今は社員数300人程度のベンチャー企業のようですが、将来性は抜群と本人は思っているようで、今年は都庁やメガバンクの内定を蹴って入社した者もいるといいます。

東大や早稲田、慶応といった一流大学を出た人間がそんな一流どころを蹴ってまで入社してくる会社を辞めるのも勿体ないような気もします。

収入を聞いても労働時間が長いからとはいえ決して少なくはありません。

ん~、どうやって思い止まらせるか。

世の中そんなに甘くないと頭ごなしに言っても説得力に欠けますので、場所を大江戸温泉に移して、自分の思いを延々と話すことにしました。

大江戸温泉

大江戸温泉、一人3,000円ほど。

人が多すぎて露天風呂にも入れず、コスパ悪すぎです。

おまけに風呂上がりに食べたオム蕎麦(勿論、別料金)も辛くてまずかった・・・。

悲観的なことばかり話すのもどうかと考えましたが、何しろ彼はまだ23歳で社会経験も殆どといっていいほどありません。

景気のいい友達だけの話で世の中を甘く考えていますので、バランスをとるために敢えて自分の経験や知っている人のことなどをまじえながら、悲観的な話を中心にしました。

・計画性がなく考えが甘くて無謀なこと

・一度、正社員から離れた後のリスク

・失敗した後に復活することの難しさ

・失敗した人の話

・今見えてる風景と失敗した時に見える風景は人間関係を含めて全く異なる事

・失敗してはじめてわかる普通の有り難さ

・それでもやりたいことがあれば、ある程度の経験に基づいたしっかりとした計画性をもつこと

などなど。

彼も真剣に耳を傾けてるようで、その都度質問もしてきます。

一通り私の話を聞いた後、彼は「俺は甘いのかな」とポツリ。

しかし、会社には6月で辞めることを正式に伝えているし、すでに獲得した営業成績も後輩に譲っており、辞めるのを撤回するというのは難しいようです。

労働時間が長いとはいえ、本人がそんなに苦ではなくやりがいもあるという訳ですから、将来性のある会社?を辞めてまで転職するのは勿体ないことです。

しかも、40人近く入社した中で脱落せず残った10人ちょっとの中で営業成績も年間トータルで2位という訳ですから余計に勿体ない。

それこそ10年、20年経てば高額の給料を貰えているかもしれません。

ですが、辞めると言ったからには仕方がなく、「辞めるとしてもバイトとかではなく自分の時間が取れる会社に正社員として転職して、じっくり考えて将来を決めたほうがいいのではないか」という言葉を最後に別れました。

長崎に帰って1週間ほど経ったとき、息子から電話がありました。

「しばらく今の会社を続けることにした。今の仕事の中に少し気になっている起業ネタがあるのでしばらく勉強しながら頑張ってみる。色々ありがとう」と。

会社も辞表の撤回を認めてくれたということでした。

伝えたいことはしっかり伝えたつもりですが、私の若い頃がそうであったようになかなか人の意見を聞き入れることが難しい年頃です。

それでも親の話をよく聞いてくれ、思い直してくれたことにホッとしたと同時に感動しました。

3月には3年以上付き合ってきた彼女と別れたばかりで公私ともに大変そうでしたが、会社を辞めるのを思い止まってくれて親としては一安心です。

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