50代になっても夢を追う知人がいます。
14年前に一緒に会社を早期退職した知人(Y)は、最初にリサイクルショップを始めましたが、経営がうまくいかず、店を畳んでからは、就職活動を続ける傍ら、童話作家、小説家、ITビジネスなど色々なものにチャレンジしながら夢を追いかけています。
今回は、50代で夢を追っている知人の話です。 50代で夢を追うことは決して悪いことではないと思うのですが、「逃げ」「現実逃避」だと評されることが多いのも事実です。果たしてどうなのでしょうか。 14年前に一緒に会社を早期退職した知人([…]
そんな彼に最後に会ったのは昨年の夏。
報告があるということでいつもの居酒屋で食事をすることにしました。
食事中、彼はおもむろにバッグを開け、CDプレイヤーとイヤホンを取り出します。
イヤホンを私に差し出し、「CDデビューしました!」と。
最近、一人カラオケにはまり、自分の歌う声を録音してYoutubeにアップして楽しんでいるといいます。そうしているうちに、東京のインディ-ズ会社と知り合い、自ら作詞・作曲をして50万円ほどでCDを出したということでした。
居酒屋の個室でもない席で、目の前の人間が歌っているCDを聞くのには少し(というか相当)抵抗がありましたが、断りきれずに聞いてみることに。
彼の歌声はいつも2次会のスナックのカラオケで聞いているので、今更新鮮さはないのですが、演歌風の詞とメロディーは想像以上によく、有名な演歌歌手が歌えばヒットしそうな感じです。
正直、素人にしては上出来だと思いました。
感想を彼にそのまま伝えると、気を良くして、バッグの中から「CDをセールスして回る会社」をまとめたノートを取り出し説明を始めました。
優に50社を超えていたと思います。
それにしても、彼は凄いなあ、と。
大成功する人はこんな感じなんだろうな、と。昔流行った鈍感力を思い出してそう思いました。
きっと彼は恐らくCDを片手に全ての会社を回るんでしょうね。
「いい報告ができるよう頑張ります。忘年会の前にまた1度食事しましょう。」
お開きになって、彼はそう言って帰っていきました。
あれから年もあけて10ヶ月近く経ちましたが連絡はありません。
セールスが思うようにいってないのでしょうね。
いい歳して子供のように夢を追い続けるのはもういい加減止めたらどうかと言うのは簡単です。
何度かそのような話はしたことがあるのですが、彼のことを考えると、ギリギリの状態で生きながら、夢を追い続けることで精神状態を保てている部分があるのではないかと思うんです。
実際、14年前に会社を辞めた後、職を転々としながら理想と現実のギャップに苦しみ鬱病を患っていたこともありました。
その都度彼は奮起して頑張っています。
だから、私ももういい加減止めろとは言えません。
そんな彼ですが、今年に入って就職を果たしたと風の便りに聞きました。
今度は長続きできればいいのですが・・・。
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