少し前になりますが、三越伊勢丹ホールディングスは百貨店事業の低迷からリストラの一環として人員削減や不採算事業の整理を発表しました。
バブル期に入社した幹部を中心とした早期退職制度による人員削減が来年度から実施されます。
三越伊勢丹ホールディングスといえば、10年近く前に富裕層に強い三越とファッション性の高い品ぞろえを得意とする伊勢丹が経営統合したデパート業界の最大手ですが、業績の悪化で今年の3月に社長が交代したばかりです。
打ち出した早期退職優遇制度の条件も時間とともに拡大してきており、その結果、現在の条件は、48歳~49歳のステージAと呼ばれる部長級の社員では最大で5,000万円ほど退職金が積み増しされ、通常の退職金と合せると退職金は7,000万円程度に。
ステージBの課長級でも6,000万円ほどの退職金を受け取ることになるといわれています。
昨年実施された東芝の早期退職優遇制度でも同じく50歳くらいの役職者は5,000万円ほどの退職金が支給されていますし、ソニーでも早期退職優遇制度で7,000万円を超える退職金を手にした人がいるといいます。
さすがは大企業ですね。早期退職優遇制度を利用して400万円貰って辞めた私からしたら何とも羨ましい話です。
7,000万円の退職金と言えば1日でも早く会社を辞めてのんびり暮らしたいと思っている人にとってはまたとないチャンスになるはずの金額です。
しかし、実際に大手企業に勤める人で、大金を手にしたからといって、アーリーリタイアに踏み切る人は意外と少ないと聞きます。
退職金7000万円でも50代でリタイアできない理由
推測するに、50歳で退職金7,000万円でもアーリーリタイアできない、あるいは、しない理由は生活レベルの維持と肩書への執着が大きいのではないかと思われます。
勿論、もっと働いていたいという人もいるでしょう。
生活レベルの維持
この年代となると、年収は1,000万円を超えているでしょうし、それなりの生活をしているはずです。立派な家のローンも残っているでしょうし、人との付き合いもあります。
子供の教育費に最もお金がかかる時期かもしれません。
例え貯蓄とあわせて1億円あったとしても、サラリーマン時代と同程度の生活レベルを維持するのであれば年金を貰う前に破綻してしまう恐れもあります。
かといってこれから先、今までの2分の1の生活費でやっていけるか。
友だちとのゴルフやスキー、家族旅行の回数を減らすことができるか。
ブランド品や高級車も買えなくなってしまいます。
長年かけて築き上げてきた生活スタイル・生活レベルを落すのは大変です。
さらには、そういったものを秤にかけて自分だけで決められればまだいいですが、そういった生活に執着しているのは自分だけではありません。
妻や家族の同意・協力も必要になりますし、それが最も難しい人もいます。
特にこのような大手企業であれば、7,000万円という退職金も会社が潰れない限り5年ほども働けば回収できる金額だと計算ができます。
定年まで残って退職金を満額貰った方がお得ですし、公的年金も貰える金額が変わってきます。
そう考える人は少なくないでしょう。
肩書への執着
政治家も選挙に落ちればただの人と言われるように、会社員もそうです。
退職すれば肩書を失い、ただの人になります。
特に、一流企業に勤めている人であればその肩書にしがみついている人が多いかもしれません。
まとめ
このようなことを考えると、辞めるのではなく会社に残りたいと考える気持ちもわかります。
特に、生活レベルを維持していきたいと考えるのであれば、会社の将来を不安視して辞める方を選択したとしても、アーリーリタイアという生き方を選択せず、コネや肩書を利用して転職する方を選ぶのも無理はないと思います。
周りから見れば贅沢な悩みですが、本人たちには本人たちなりの事情があります。
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