アーリーリタイアするために必要な資金の計算方法

アーリーリタイアを実現するために必要な資金の計算方法

今回は、アーリーリタイアをするために必要な生活資金の計算方法、について自分の経験や考え方を踏まえて計算方法を書いてみたいと思います。

ときどき、
「○○歳でアーリーリタイアするには資金はどれだけ必要か」
「老後の貯蓄は3,000万円必要」
といった記事を雑誌やネット上で見かけます。

私もアーリーリタイアするかどうか悩んでいた頃は気になるキャッチフレーズでした。

ですが、この問いに私はいつも違和感を感じていました。

何故なら、アーリーリタイアする時や老後に必要な資金は結局は人それぞれだからです。

  • 持家か賃貸か?
  • 借金(負債・ローン)はあるか?
  • 住んでいる地域は?
  • ご家族は?
  • たばこは吸う?
  • お酒は?
  • 車は?
  • 趣味は?
    ・・・

こういったことは個人差があり、人それぞれの環境や事情で大きく変わってきますので、人に問うものではなく、自分で割り出すものだと思います。

生活環境で言えば、田舎で安い家を借りて自給自足なみの生活ができる人であれば月に10万円も必要ないかもしれません。

残り20年続く家のローンだけでも月額10万円以上必要な人もいるかもしれません。

また、配偶者がいる、いないだけでも必要な資金は大きく変わってきます。

人それぞれです。

しかし、人それぞれです、ではそんなことわかりきっているで終わってしまうので、私がリタイアする時に考えた必要な資金(貯蓄)の計算方法を紹介したいと思います。

とはいえ、期待はしないで下さいね。期待されては困るくらいの普通の計算方法です。

アーリーリタイアを実現するために必要な資金の計算方法

私の場合、アーリーリタイアする時に、今後生活していくために必要な資金として、ザックリ

  1. 最低限必要な資金(貯金)額と
  2. 人並みの生活ができる資金(貯金)額(ゆとりバージョン)
  3. 緊急時に備えた生活費圧縮バージョン

という3つのパターンを設け、以下のような計算方法で算出しました。

緊急時に備えた生活費圧縮バージョンというのは、①の最低限の生活よりさらに生活のレベルを落としたバージョンです。

アーリーリタイアするのに最低限必要な資金額の割り出し方

アーリーリタイアするのに最低限必要な資金額の割り出し方は、最低限必要な生涯の生活費から生涯の収入を差し引くといった単純な計算です。

アーリーリタイア以降の生涯の支出額を割り出す

まずは、生活するのに最低限必要な生活費を割り出して、かける(×)ことの(平均寿命までの期間)で資金額Aを割り出します。

最低限必要な年間の生活費 × 平均寿命までの年数 ⇒ 資金額A

最低限必要な年間の生活費とは、現在の生活費を基準に、個人の価値観で譲れないところと削れるところを吟味して割り出した額です。

例えば最低限必要な年間の生活費が300万円で、残りが30年(寿命 – 現在の年齢)だとすれば、資金額Aは9,000万円です。

実際は、例えば65歳までは350万円、それ以降は250万円といった金額で算出しています。

次に、家のリフォーム代や車の購入、電化製品の買い替えなどの定期的にくる出費を上記で算出した金額に足し合わせて資金額Bを割り出します。

資金額A + 定期的な出費 ⇒ 資金額B
  • 風呂、トイレ、壁紙、床(畳やフローリング)を生涯に1回から2回交換
  • 車は5年毎に5回買い替え
  • テレビ、冷蔵庫、エアコン、食洗機等は10年毎に買い替え等々
  • 親類の冠婚葬祭

これらを合わせた額を例えば2,000万円と見積もれば、上記生活費(資金額A)との合計で資金額Bは1億1,000万円となります。

大まかに必要な金額を算出したらインフレを加味して(例えば年数×1%のインフレと予想して)、およそ1,000万円ほどをプラスします。

資金額B × インフレ率 ⇒ 資金額C

資金額Bとの合計で資金額Cは、1億2,000万円となります。

※実際、生活費の全てがインフレのあおりを受ける訳ではありません。

そして順番が正しければ、私が死亡した後、妻は20年ほど生き続けることが予想されますので、妻だけの年金収入では不足する金額を加算します。

資金額C + 配偶者の年金不足分 ⇒ 資金額D

例えば、年間60万円不足するのであれば20年で1,200万円。

資金額Cとの合計で資金額Dは、1億3,200万円となります。

上記の例では、生涯に必要な額(支出額)は、1億3,200万円となります

アーリーリタイア以降の生涯の収入額を割り出す

次に平均寿命までに見込まれる収入額を割り出します。

ここで注意すべきは、投資分や資産運用などの見込み収入は計算に入れないことです。

年金など、ほぼ確実に収入となることが予想される分を収入として計算します。

ちなみに我が家では、年金(国民年金・厚生年金)を貰える年齢は一応70歳からということで試算しています(貯金でどうにかなる間は可能な限り貰いません)。

繰り下げ受給による割増の恩恵を受けるためです。

貰える年金額は「国民年金基金」の金額分と「ねんきん定期便」で送られてくる「国民年金・厚生年金」の金額(妻と私の合計額)で試算してます。

関連記事

老後の不安として最も大きな要素に経済的な問題(年金)があります。 私もそんなに余裕をもってリタイアした訳ではありませんので年金は非常に頼りにしています。 ここでは、我が家の、夫婦で貰えるであ[…]

夫婦でもらえる年金額を計算してみた

しかし、国民年金・厚生年金は減少すると予測していますので自分のエクセルの試算表には本来70歳からだと42%増しで受給できる年金分を逆に10%ほど少な目に入力しています。

年金収入 ⇒ 生涯の収入額

例えば、私の10年分の年金が2,000万円、妻の20年分の年金が2,000万円とすると合計4,000万円となります。

尚、うちにはありませんが、人によっては親から相続する遺産や不労所得などを計算式に入れることができるかもしれません。

アーリーリタイア時に必要な資金額を割り出す

最後に、生涯の支出額から生涯の収入額を差し引くとおよその必要な資金額が割り出せます

例えば、生涯の支出額が1億3,000万円で生涯の収入額が4,000万円だとしたら最低限必要な資金額は9,000万円ということになります。

想定以上のインフレや年金問題、健康問題、寿命など不確定要素もありますが、今できる可能な対策を打ちつつ、その時はその時、臨機応変に対応するしかないと考えています。

これらは、リタイアする、しないにかかわらない問題ですからね。

アーリーリタイアしたあと人並みの生活ができる資金額の割り出し方

私の場合、贅沢なことですが、リタイアするからといって生活レベルを大きく落とすようなことはしたくないという希望もあり、「サラリーマン時代の同僚と同じレベルの生活」するにはいくら資金が必要か、という条件を加えてもう一つ別の計算式で計算しています。

つまり、身近な人を捉えた「人並みの生活ができるための資金額」です。

もしあの時、会社を辞めずに定年まで勤めていたら生涯賃金(年収+退職金)はいくら貰え、年金はいくら貰えたのか、というものが基準になります。

サラリーマン時代の同僚の生涯賃金と貯蓄額から必要な資金額を計算

サラリーマン時代の同僚の生涯賃金は以下のように計算しました。

今の流れでいけば定年退職の年齢も延びますので、70歳定年で計算します。

但し、61歳からの年収は60歳の年収の7割ほどで計算します。

幸い、地方の企業ですので年収も退職金もそんなに高額ではありません。

しかも年収からは税金も引かれますので実際の計算は税引き後の金額(年収600万円であればおよそ500万円)で計算します。

それにアーリーリタイアするとサラリーマンで必要だったランニングコスト(例えばスーツ代やシャツ代、またそのクリーニング代や会食、飲み会、ゴルフなどの付き合い費など)も減りますので経費部分も減少します。

そこでリタイアするときにおよそ次のような計算式で生涯賃金を計算しました。

自分がリタイアする時点から同僚のサラリーマンが得る生涯賃金 =(平均年収500万円 × 0.85)× 勤続年数20年 + 退職金

0.85という係数は、少し雑ですが、61歳以降の年収が7割ほどに減少するということを加味した数字です。

この場合、退職金を1,000万円だとすると同僚のサラリーマンの自分がリタイアする時点からの生涯賃金は、8,500万円+1,000万円の合計9,500万円になります。

そして、この9,500万円に同僚サラリーマンの予想貯蓄額をプラスした金額が確保できれば70歳まではサラリーマンを続けていた場合と同じレベルの生活ができることになります。

リタイア時点から70歳までの必要貯金額 = その時点からの同僚のサラリーマンの生涯賃金 + その時点の同僚サラリーマンの予想貯蓄額

この場合、貯蓄額を1,000万円だとするとリタイア時点の必要資金額は1億500万円になります。

そして、もし、自分に70歳までに貰える収入の見込みがあれば上記のリタイア時点の必要資金額からその収入を差し引いた額がリタイア時点の必要資金額ということになり、その額をリタイア時点で保有していれば70歳までは同僚のサラリーマンと同程度の生活ができることになります。

リタイア時点から70歳まで人並みの生活ができる資金額 = 上記で計算したリタイア時点の必要な資金額 – 70歳までの収入予想額

例えば、70歳までの収入予想が1,000万円であれば、9,500万円ということになります。

70歳以降からは年金が支給開始されますが、私の場合はここでサラリーマン時代の同僚と差がつくのも何なので、国民年金に加えて国民年金基金に加入することで、サラリーマンを定年退職した時とさほど変わらない年金収入を見込んでいます。

尚、70歳以降、年金だけで不足する金額は、最低限必要な資金額の計算式と同じように別途算出しなければなりません。

そしてその金額をプラスした金額が、リタイアした時点で必要な資金額となります。

リタイア時点で必要な資金額 = 上記で計算したリタイア時点から70歳まで人並みの生活ができる資金額 + 70歳以降年金だけで不足する金額

緊急時に備えた生活費圧縮バージョン

一方で極度なインフレや事故などが起きた場合など想定外の事態に備えた生活圧縮策もシミュレーションしています。

  • 車を持たない生活
  • 自宅を売却して安い物件に移り住む

といった緊急バージョンですがこの二つは想像以上に家計の負担を軽くしてくれます。

言うなればこの生活が私がリタイアする場合に最低限必要な資金額になります。

関連記事

アーリーリタイアするにはいくらの貯蓄が必要かでも触れましたが、アーリーリタイア後の予期せぬ事態に備えた大胆な経費削減策(最低の生活スタイル)についても、リタイアする前に考えてみましたので、今回はそのこと[…]

アーリーリタイア後の予期せぬ事態に備えた経費削減策

このように、リタイアする時点で最低限必要な資金額を3つのパターンを用意し、それぞれこの先約30年間の計画を立て毎月の実績と照らし合わせながら生活しています。

ぎちぎちにならない程度に無駄を省くように家計もリストラしたりして調整もしていますし、私のお小遣い稼ぎの収入が予定より多かった月はすこし贅沢もして楽しんだりもしています。

幸い、現在のところ妻もパートで働き、私もアフィリエイトの収入がありますので、ゆとりバージョン以上での生活ができています。

アーリーリタイアを実現するために必要な資金の計算方法のまとめ

以上、アーリーリタイアを実現するために必要な資金の計算方法について実際に自分で算出した例を紹介してきました。

私はやっていませんが、持家を売却して田舎暮らしをしたり、海外への移住やするなど自由な発想で考えるのも楽しいものです。

銀行金利の高い国に移住して殆ど利息だけで生活し、お金を減らさずに10年後に日本に戻ってくるというタイムマシーンのような生活スタイルもあるようです。

そんなことを具体的に考え出すと見えなかった選択肢が見えてきて意外と思っているよりも少ないお金でリタイアすることができるかもしれません。

勿論、少し働きながらのセミリタイアという選択もあります。

人生は一度きりですから有意義な人生にしたいものです。

一度、残りの人生でいくら位必要なのか試算してみては如何でしょうか。

その他の関連ブログ ⇒ セミリタイア生活

関連記事

55歳でアーリーリタイア(早期退職)するのに必要な資金はいくらくらいでしょうか? 先日、自称「ときどきブログに訪問して頂いている方」から「同じ55歳なのですがどれくらいの資金があればアーリーリタイ[…]

55歳でアーリーリタイアするのに必要な資金はいくらか
関連記事

アーリーリタイアをして5年ほど経ちました。 そこで、ここでは、アーリーリタイアをして5年経った現在、アーリーリタイアして後悔していることはないか、また、後悔しないためにはどういうことに注意してアー[…]

アーリーリタイアして後悔はないか?後悔しないためのポイント